太郎ちゃんと美林ちゃんの出会いのお話

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  太郎ちゃんが毎日寝覚の床で釣りをして楽しんでいると、どこからか甘いいい匂いがしてきました。
 カメくんと匂いを辿って探してみると、川岸に小さな花が浮いていて、匂いはその花からだったのです。
『なんと言う花なんだろう?』どこか懐かしい匂いのする花が気になって太郎ちゃんは夜も眠れません。
 しばらくするとまた花が川上から流れて来ました。
 太郎ちゃんは、いてもたっても居られなくなり、その不思議な花が何処から流れて来るのか探しに行く事にしました。
『確か川上には〈かえる岩のカエルくん〉が居るはずだ。カエルくんに聞けば何か分かるかもしれない!』
そう考えた太郎ちゃんは木曽川を上へ上へと上がって行きました。
 大きな大きなかえる岩に辿り着いた太郎ちゃん達は、流れ着いた花の事をカエルくんに話しました。
 かえる岩のカエルくんは『い~や~?僕はず~っと木曽川を眺めているけれどそんな花は流れて来ないよ~?』と言いました。
『僕は動けないから分からないけれど、もしかしたら〈天狗山のテングさま〉なら何か知っているかもしれないよ~』『テングさまは赤い物が大好きだから、何か赤い物をお供えすれば出て来てくれるかも~』と教えてくれました。

 
そこで太郎ちゃんは上松町特産の〈赤カブ〉を持って天狗山を目指しました。
 そこで太郎ちゃんは上松町特産の〈赤カブ〉を持って天狗山を目指しました。
 天狗山に着いた太郎ちゃんは赤カブをお供えして、大きな声でテングさまを呼んでみました。
 すると山の奥から《ワシを呼ぶのは誰じゃぁ~!》と真っ赤な顔をしたテングさまが出て来たのです。
 太郎ちゃんが花の事を聞いてみると《おぉ~その花は〈オオヤマレンゲ〉と言ってな、ときどき西の川から流れて来るのを山の上から見ていたぞ~。》と言いました。
 テングさまから聞いた手がかりを元に、太郎ちゃん達は〈西小川〉を上へと上がって行きました。
 西小川を上がって行く途中、まるで太郎ちゃん達を誘うように何回もオオヤマレンゲが流れて来たので、太郎ちゃん達は迷う事なく《赤沢自然休養林》まで行く事が出来ました。
 赤沢自然休養林に辿り着いた太郎ちゃん達は、オオヤマレンゲが見事に咲いているのにビックリしました。
『やっぱりこの花は遠い昔に見た事がある。……でもどこで見たか思い出せないや……どうしてこんな山奥に沢山咲いているんだろう?』
太郎ちゃんが不思議に思っていると、何処からか女の子の声が聞こえてきました。

【そこに居るのは誰?】

 太郎ちゃんが振り返ると、そこには可愛い女の子が立っているではありませんか。
 一目見てその女の子が大好きになった太郎ちゃんは、気になって仕方ありません。
『君は誰だい?どうしてこんな山奥に居るんだい?』
 太郎ちゃんがそう言うと、女の子は【あなたこそ誰よ!別にどうだっていいじゃない!私の花に気安く触らないで欲しいわ!】とキツく返されてしまいました。
 それでも太郎ちゃんは、めげません。
 今までの事を女の子に話しました。
 女の子は【私の名前は美林て言うの。…でもその他の事は何も思い出せないの。気がついたらココに居て…】
…どうやら美林ちゃんは昔の事を覚えていないようです。
 太郎ちゃんは『この花はオオヤマレンゲって言うんだ。どうしてオオヤマレンゲを育てているんだい?』と聞きました。
 すると【そんなのはどうでもいいでしょ!何かいい物を持って来てくれたら教えてあげるわよ!】と言われてしまいました。
 美林ちゃんが大好きな太郎ちゃんは、大急ぎで里に下りて〈エゴマたっぷりの五平餅〉を手に入れ、美林ちゃんの元へ行きました。
【あら?これ意外と美味しいじゃない。】…と美林ちゃんは美味しそうに五平餅を頬張りました。
【…実は私も、どうして育てているのか分からないの。…占いをしてみたら「オオヤマレンゲを育てなさい」って出たの。…ただこの花って何となく懐かしい気がするのよね~。】
 どうやら美林ちゃんも太郎ちゃんと同じで、オオヤマレンゲが懐かしいみたいです。
 そこで太郎ちゃんは、美林ちゃんに『そうだ。二人で上松町を色々と探索してみない?もしかしたらオオヤマレンゲの事とか分かるかもしれないよ。』と提案してみました。
【そうね~。別に一緒に付いて行ってもダメな訳じゃないわよ。】
 こうして太郎ちゃんと美林ちゃんは二人(とカメ一匹)で上松町を色々見て回る事にしました。
 どこかで見かけたら上松町の事をいろいろと教えてあげてね♪

 つづく

~~あとがき~~
 二人はどうしてオオヤマレンゲが懐かしかったのでしょうか?
 美林ちゃんはどこから来たのか?どうして昔の記憶がないのでしょう?
 このお話では影の薄かったカメくんは、今後出番があるのでしょうか?

PS.釣り好きの太郎ちゃんは、どうやら美林ちゃんという大きな獲物を見事に釣り上げたとさ。ゲッヘッへ。
(FM長野G.M.R監修?)おしまい