三つのお話

上松保育園

赤沢のオオヤマレンゲ

 ねざめの床に滞在していた太郎ちゃん。「ねざめの床はいい所だけど、知り合いもいないしさみしいな」と思っていました。
 
 そんなある日、風にのって、いい匂いがしてきました。
 その匂いを探し求め、空を飛んだり、山道を歩き回った太郎ちゃんでしたが、「うーん、ここから匂いがするぞ」と辿り着いた所は〝赤沢自然休養林〟でした。
「あっ これだ!!」その匂いの正体は〝オオヤマレンゲ〟の花だったのです。
「わぁー、きれい!!」 山に咲く、きれいなオオヤマレンゲの花をずっと見つめていると、オオヤマレンゲよりも、もっともっときれいな美林ちゃんに出会いました。
 赤沢の山で出会えた二人は嬉しくてたくさんお話をしました。
 太郎ちゃんは、この日から美林ちゃんのことが大好きになりました。
 美林ちゃんも、太郎ちゃんに会いたくなるとオオヤマレンゲの種をまき、花を咲かせ、太郎ちゃんの住むねざめの床まで匂いを届けました。気がつくと赤沢には、たくさんのオオヤマレンゲの花が咲いているのでした。

オオヤマレンゲの花

 太郎ちゃんが、りゅうぐうじょうに行く前から太郎ちゃんと美林ちゃんは仲良しだった。
 美林ちゃんは、いつもオオヤマレンゲの花を持ち、大事に育てていた。
 りゅうぐうじょうに行き、その記憶もなくなってしまった太郎ちゃんですが、赤沢から香るオオヤマレンゲの匂いをかぎ、昔の事を思い出しました。
  実は、美林ちゃんも、仲良しの太郎ちゃんがいなくなりさみしくてさみしくて太郎ちゃんとまた会いたいとずっとオオヤマレンゲの花を植えて育てて待っていました。
 そして二人はオオヤマレンゲの花がたくさん咲く赤沢で再び出会い、また仲良しになりました。

おとひめさま

 美林ちゃんは実はりゅうぐうじょうのおとひめさまなのです。
 太郎ちゃんとまた会いたくなったおとひめさまが、美林ちゃんになって太郎ちゃんのすむねざめの床に近い赤沢で、太郎ちゃんの大好きだと言っていたオオヤマレンゲの花を植えて育てていた。この花の種は、太郎ちゃんに会いたくて泣いていたおとひめさまの涙が種になった。