太郎ちゃんと美林ちゃんの出会い

田上節子

 
 ここは、赤沢自然休養林。ここには、とってもきれいでかわいらしい美林ちゃんが暮らしていました。
 美林ちゃんの趣味はオオヤマレンゲのお世話。今日もきれいなオオヤマレンゲが咲くように、せっせとお世話をしています。
 6月になり、美林ちゃんのお世話のかいがあってオオヤマレンゲがとってもきれいに咲きました。
美林ちゃん『今年もオオヤマレンゲがとってもきれいに咲いたわ^^さっすが私ね。こんなかわいい私がお世話してるんだもの。きれいに咲くのは当たり前ね。』
 そこで美林ちゃんは、その中でも最もきれいに咲いているオオヤマレンゲを2本摘みました。
美林ちゃん『山の神様と川の神様にオオヤマレンゲをお供えしようっと』
 1本は、美林の奥、奥千本のひのき林にお供えしました。
 もう一本は、赤沢へそっと流したのでした。

 ところ変って寝覚の床。今日も太郎ちゃんがのほほんと釣りをしていました。
太郎ちゃん『かめきち~、今日も魚が釣れないよ~。今日も飯抜きかな~。』
  今日こそ魚を釣ろうと、木曽川をじっと見つめていた太郎ちゃん。すると上流から何か流れてきました。
太郎ちゃん『あれ?何だろう。』
 釣竿にヒョイっとひっかけて拾ったところ、それはとってもきれいな白い花でした。
太郎ちゃん『なんてきれいな花なんだろう。それにいい匂い。この川の上流に咲いているのかな。もっと見てみたい!よし、上流へ行ってみよう。』
 木曽川をのぼることにした太郎ちゃん。実は太郎ちゃんはとっても鼻がいいのです。
 鼻をくんくん。木曽川に支流が合流するたびにくんくん。
太郎ちゃん『こっちだ!この花のにおいはこっちからする!』
 木曽川から赤沢へ入り、赤沢自然休養林までやってきました。
太郎ちゃん『ひのきがたくさんはえてなんて素敵なところなんだろう』
 よく見ると、太郎ちゃんがひろったきれいな白い花がいっぱい咲いています。その花に水をあげている女の子がいるのに気がつきました。
太郎ちゃん『か、かわいい。乙姫様よりかわいい。』
 と、いうわけで太郎ちゃんは美林ちゃんと運命の出会いをしたのでした。